液状化対策工法

ホーム>宅地の液状化被害可能性判定に係る技術指針・同解説

 本指針は、中規模の地震が発生した時に懸念される地盤の液状化現象に対して、戸建て住宅地の液状化被害の可能性を判定することを目的としています。また、判定をする上での基本的な考え方や注意すべき点を整理しています。

調査・判定の手順

一次判定:
既存資料により、二次判定の要否を判定
二次判定:
地盤調査結果に基づき、顕著な被害の可能性を3ランクで判定
三次判定:
二次判定結果に基づいて必要と判断される場合に実施する判定である
詳細な調査・解析により、顕著な被害の可能性を3ランクで判定

 図-1 液状化被害可能性の判定フロー

一次判定

既存資料及び現地調査に基づいて、二次判定の要否を判定します。

二次判定

 判定対象宅地の面積、形状、地形状況、地層の変化状況等の要因を十分に配慮して、ボーリング本数及び土質試験を計画します。


図-2 地盤調査(例)

調査深度:
20m
調査資料:
①地層構成
②地下水位
③標準貫入試験値(N値)
④室内土質試験による粒度特性
⑤土の単位体積重量

※各調査・試験は日本工業規格(JIS)及び地盤工学会指針(JGS)にしたがう


 ボーリング調査結果から、各層の液状化に対する安全率(FL値)を算定します。これを基に算定される非液状化層厚(H1)、地表変位量(Dcy値)、液状化指標値(PL値)から判定図などを使用して顕著な液状化被害の可能性を判定します。


想定する地震動:
マグニチュード7.5
想定最大加速度αmax200(gal) 「建築基礎構造設計指針」
想定震度khgl0.20 「道路橋示方書・同解説 Ⅴ耐震設計編」
想定する地盤面:
宅地の地盤面

 ボーリング調査毎の判定は下記に示す判定図及び判定図の数値表により「A:顕著な被害の可能性が低い」、「B:顕著な被害の可能性が比較的低い」、「C:顕著な被害の可能性が高い」の3ランクで判定します。


「建築H1‐Dcy法」:
「建築基礎構造設計指針」を基本とし、非液状化層厚(H1)と地表変位量(Dcy値)の関係から判定する手法
「建築H1‐PL法」:
「建築基礎構造設計指針」を基本とし、非液状化層厚(H1)と液状化指標値(PL値)の関係から判定する手法
「道示H1‐PL法」:
「道路橋示方書・同解説 V耐震設計編」を基本とし、非液状化層厚(H1)と液状化指標値(PL値)の関係から判定する手法

 図-3 H1値、Dcy値、PL値による判定図


 表-1 判定図の数値表

判定結果 1の範囲 cyの範囲 L値の範囲 液状化被害の可能性
3m以下 5cm以上 5以上 顕著な被害の可能性が高い
B3 5cm未満 5未満
顕著な被害の可能性が比較的低い
B2 3mを超え、5m以下 5cm以上 5以上
B1 5cm未満 5未満
5mを超える 顕著な被害の可能性が低い

三次判定

 二次判定と同じ判定図などに基づいて判定します。液状化対象層の液状化抵抗比あるいは動的せん断強度比は繰返し非排水三軸試験を実施して求めます。等価な繰り返しせん断応力比あるいは地震時せん断応力比は一次元地盤応答解析で算定します。

適用範囲

 本指針が適用できる範囲としては、以下の3点があります。
(1) 戸建て住宅等の宅地の液状化被害の可能性を判定する場合
(2) 戸建て住宅用の新規造成宅地及び既存住宅地(おおむね平坦な地形が続く場所に位置)
(3) 震度5程度の中規模地震
※ただし、本指針は液状化対策の必要性の有無を判断するものであり、宅地毎に被害の有無や程度を保証するものではありません。